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コラム
2019 Vol. 2 PDF 版


全人代での施政方針演説では国内(内政)志向が強く、米国を意識してか対外的に特筆すべきことはありません。我々海事クラスターにとって気がかりなのは、米中貿易(関税)戦争です。両国通商協議は未だ続行中ですが米国の「勝ち」、中国の「負け」、すなわち中国の譲歩で決着するでしょう。ただ、中国は自由貿易を標榜しているので世界の物流が減退することはありません。日本も然(しかり)です。
BREXITは政治色が強く海上物流面で大きな悪影響があるとは想いません。イギリスはEUから離脱してもCOMMON WEALTHという大きな経済圏を有しており独り立ち出来ます。EUは同盟各国の政治経済に格差があり、同盟の効果が充分とは言えません。ドイツ、フランスが主導して強固な経済圏に生育してほしいものです。
東南アジア諸国は中国経済圏の最終動向・newsに影響を受け易いので、些か気がかりですが、ASEAN、RCEPなどの経済圏の中で更に発展するでしょう。
中近東は宗教も絡みよく解りません。ただ、ホルムズ海峡を閉鎖するような事態だけは避けてほしいものです。
アフリカは資源と人の豊富な大陸ではありますが、何故か纏まりに掛けます。中国が市場として狙らいを定めているように観えますが、日本は?

安倍政権は長きに亙りますが、突出した代役が出てこなければもう少し続投しても良いのではないでしょうか。世界の集まりを観ても彼が最古参の様子で、喧嘩があれば仲介役になれるかもしれません。皆が仲良くすることは物流の増幅に資するのです。
為替は110円前後で推移すれば良い。金利は低金利で推移するでしょう。株式相場も高位安定しております。これらの面で心労することは暫く無さそうです。
造船所はかなり集約されました。大手は造船専業に任せるべきです。或いは、もっと海外に進出して後進国を育成すべきです。韓国、中国も造船所は飽和状態で過剰分は自然淘汰されます。
世界の荷動きは、人口が増え、七つの海のある限り減少することはありません。この荷動きを巡る争奪戦が起こることは致し方ありません。船腹と海上輸送量のアンバランスが市況の良し悪しを造成します。その狭間で船を買い、船を売り、船を借り、船を貸しながら実績を積み重ね、その結果として利益をあげることにより、銀行も融資を打つのです。海事クラスターは試行錯誤してバランスを取ろうとしているのです。この動作の中で、船が投機商品として取引される傾向があります。困ったものです。

「浮きつ沈みつ」「諸行無常」然り而して、2019年の市況は、2018年の市況の横滑りで推移すると予測します。しかし乍ら、世界の地政学的動向は注視しましょう。筆者も海事産業という「花」に囲まれて齢を重ねてきました。

もろもろの花に背を向けて
デデ虫のごとく生きなむと
時に思へり

デンデン虫ではありませんが、筆者は今年3月末をもって極東海運実業を退社し余生を過ごすことになります。
マーケットレポートは四半世紀に亙りお届けして参りましたが、これが最後のレポートになります。

野田 著


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