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コラム
2018 Vol. 1 PDF 版


世界経済も海運市況も、やや上向きのまま2018年を迎えました。
今年は我々海事クラスターにとって体力を復活させる年になるでしょう。

1月26日中国は「我が国は北極の重要な利害関係者」と宣言。習近平国会主席が提唱する経済圏構想「一帯一路」を北極圏へと拡大し「氷のシルクロード」を建設すると打ち出しました。

この「一帯一路」には「陸」のみならず南廻りの「海のシルクロード」を含むことから、欧州、中近東に向かって、湾岸等の確保など既に手を打っており、中国の思惑はさておき、物流増進に資する限り大歓迎ですが、「氷のシルクロード」には驚きました。中国は北極に接点はありませんが、欧州向け北廻りの物流も目指すのでしょうか? 発表の中では、北極は中国の気候や経済利益に関係すると主張しています。「旗」を掲げたら直ぐ行動に移す中国ですから今後の動きを観たいものです。その昔、北極圏での油、ガス輸送は海底パイプを敷設するより、氷の下を潜水船で運ぶ方が安くつく、維持管理面でもより簡単、ということで検討はされましたが、技術面の難しさで確か立消えになりましたはず。北極圏も温暖化により解氷が進み、将来砕氷船で北廻りの物流が盛んになるかもしれません。

南廻りより時間は短縮されます。ロシアとも仲良く話し合って下さい。「氷のシルクロード」は当座、海運市況には影響はありません。
IT産業は見まぐるしい進化を遂げております。海事産業もこれを取り入れない手はありません。この意味で、船舶自動化を業界一体となって推し進めていかなければなりません。政府-も海事生産性革命(i-shipping)の施策を推進しています。現在、各大手船会社主導で検討されている様ですが、IMO/船級協会/船会社/造船所/機器メーカー/保険/IT産業が一体となって他国に先駆けて早期実現に向かって欲しいものです。バラバラでの検討は時間の無駄です。今まで培った知見、技術に一寸プラス/結合すれば早期実現は可能と想われます。

昨年に引き続き、本年はLNGとCRUISINGに注目したいと思います。
昨今、投機筋の動きが御しがたいが、本年は船腹と海上荷動きが適度のバランスで推移すると予測します。
あとは、皆さまが健康でありますよう祈願し、今年一年をお過ごし下さい。

 

野田 著


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