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コラム
2017 Vol. 8 PDF 版


世界経済が上向き傾向のせいか、海運市況もやや上向きと観ます。このまま年を越すでしょう。来年はリーマンショック後10年目となります。経済変動説で10年周期を唱える学者(コンドラチェフ)がおりました。政治的不安を挙げれば、トランプ政権の足元、最近の過激な発言、中東の混乱、BREXIT交渉、北朝鮮情勢など・・・。これらは経済、貿易、海上輸送にも影響を及ぼします。中国の政治経済の動きも併せて動向をウオッチしましょう。日本国内の経済的不安と言えば、最近次々に明らかとなった品質データ偽装・改ざんの及ぼす影響度合いでしょうか? 大企業の数々の失態は困ったものです。彼らは重要な荷主だけに気懸りです。しかし、他方で日経平均株価が高値で推移していることには、やや違和感を覚えます。我々海事クラスターとしてこれらの動向を左右することは出来ませんが、我が身にどう影響するのかを知り、然るべき対応をしなければなりません。

JTBが世界一周クルーズを始めます。豪華客船、SUN・PRINCESS(77,440GT)をチャーターして横浜港発着で世界一周すると云うものです。2016年の日本のクルージング人口は5年連続で20万人台となり、日本へのクルーズ船の寄港回数も2000回を超え今後も増加が予想されています。将来の需要を賄うために必要な隻数は既に発注済みで、スペックは大型のプレミアム クラス。日本の造船所は手を出さない方がよろしい。日本の船会社も保有、運航には手を出さない方がよろしい。造船も運航も日本人にはそれらのDNAを持ち合わせていないのです。ただ、投資/金融商品として日本船主が保有して裸傭船にだすことはあるかも・・・。個人船主が飛行機でやったように・・・。日本としては寄港地の港の整備、地域活性化事業、観光事業をなどに力点をおき「おもてなし」で対応すべきです。そして、乗客としてクルージングを楽しむことです。ホテル代、食事代、足代を勘案すると、航空機利用の海外旅行よりも安いかもしれません。海から寄港地の風景を観るのもオツなものです。

気懸りになっているのは、船舶自動運航のことです。飛行機は2/3人で運航しているせいか、ロールスロイスがかなり先行しているようです。政府を含めて日本の海事クラスターも研究していることは承知しているものの、進展状況がよく観えません。テーマと部材は以前から揃っている筈、早期実現に向かって、他国、海外他社に先んじて邁進して貰いたいものです。

今年もあと僅か、来年も皆様にとって良き年であることを祈願します。

 

野田 著


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