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コラム
2017 Vol. 5 PDF 版


毎日の海運市況動が気がかりです。上昇/下降はありましょうが、世界の景気動向、荷動き新造船発注や解体船の動向、為替、金利動向などの動向を知る必要があります。それらを観て我々海事クラスターは短期、長期の対応が求められます。ざっくり申し上げて、世界は景気回復途上にあるのではないでしょうか。短期的には今年後半に向かって海運市況もそれに呼応して好転するものと思われます。
ISも一掃されそうです。北朝鮮は核弾道付のミサイルを発射することはありません。何らかの形でおとなしくなるのでしょう。中東地区は宗教、宗派の絡みで些か時間がかかりましょうが、大国の仲介で和平するでしょう。トランプさんの就任前と直後での過激な発言も、米国国内、国外で多かれ少なかれ反発を受け、全てが思い通りに実現しているわけでもありません。保護主義の功罪半ばして然るべく定着するでしょう。中国の一帯一路政策は“海のシルクロード”を含みます。中国の海外覇権の匂いもしますが、AIBBであろうが、中国の資金であろうが、海路の港がより良く整備されることもあり、決して悪いことではありません。英国のEU離脱は両者とも大人ですから早期に決着するべきです。やや燻る米国/露間の摩擦はあの二人が頻繁に会って話をすれば解消します。中東地域は日本にとって重要な資源国を含みます。宗教、宗派が絡むと時間が掛かりますが、大国の仲介で和平するでしょう。要するに、世界が仲良くすれば、間違いなく物流は盛んになり、海運市況も隆盛するのです。

G20のような世界の集まりの中で安倍さんの姿をよく見ます。他の国の首脳はよく変わり、安倍さんは今や不変の常連の如し。日本のマスコミはいろんな批判もしますが、世界的な会合以外にも各国訪問して、正義と常識をもってうまく立ち回っているのではないでしょうか? 日本国外の各種紛争にも仲介役として活躍すれば、沖縄返還でノーベル平和賞を貰った佐藤さんではありませんが、安倍さんも平和賞ものとも思われます。それにしても、安倍さんの取り巻きに問題児が散見され、マスコミの格好の餌食になっているのは歯がゆい限りです。もりそば、かけそばではありませんが、国会の予算委員会で、反対勢力が大事な時間を費やし批判のための批判をし、一部マスコミがそれを煽っている現状も歯がゆい限りです。政策論争がお留守になってませんか?

閑話休題。

自動車の自動運転は夢物語でなく、2020年までには商品化されそうです。一方、自動運航船は日本の大手海運会社と造船会社(機器メーカー含む)が、人口頭脳(AI)、IoTを駆使して自動運航システムを構築し、2025年までに日本国内で建造する250隻に搭載すると発表しています(日経)。海外ではロールス・ロイスが「無人船」開発で先行しており、2020年には商用遠隔操作船を完成させると発言しています。ロールス・ロイスは飛行機エンジンメーカーとして有名ですが、航空機が2/3人で操縦できるので、この筋の知見が開発心を擽るのでしょう。船の場合、何年も前から、Mゼロ、Auto-pilot、GPSS、Anti-Collision等の機器が搭載され、やろうと思えば自動車産業より早く自動運航は出来ていた筈です。外航船には約20人の船員を乗せますが、昨今、このコストは運航コストの60%以上を占めます。「無人船」は未だ夢物語としても、5人或いはそれ以下の船員数でも、安全な最短航路を航海し、且つ海難事故も半減させ得る可能性があるのではないでしょうか? 問題は、(1)IMO、ILO、Class等の国際機関が無人船を想定したルールづくりをしてこなかったこと(2)入出港時の可視運転への対応(3)サイバーセキュリティー対策、等でしょう。保険業界も含めた海事クラスターが一丸となって開発に取り組み、国際海事機関の既存規制を変更させることです。

 

野田 著


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