Home > Column > 2017 Vol. 2 Print this page
コラム
2017 Vol. 2 PDF 版



2017年は世界が平穏無事に推移するとは想えません。海事クラスターにとっても派生的効果を観つつ成り行きを観察することにしましょう。

トランプさんの「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」(米国第一主義)は株式市場には貢献しても、TPPからは離脱しますので海運市況に貢献しそうにもありません。為替と金利の動向には引き続き注目したいものです。
こうなれば米国抜きでTPPを実現し、別途、日米二国間貿易協定の締結に向けて歩を進めれば良いと思います。又、RCEPやEPAの交渉、妥結を急ぐことです。何れにしても、トランプ劇場幕開けのタイミングで、松山英樹も含め今後の成り行きを観察しましょう。

中国全人代が開催されました。今年の経済成長率見通しは6.5%にやや下方修正されました。石炭や鉄鋼の生産能力は減らし続けるそうです。これらは海上荷動きに影響がありそうです。しかし、トランプさんを意識してか、脱グローバリズムや保護主義の世界的傾向には懐疑的でした。中国が発表する経済指標には些かの疑問がありますが、矢張り、今後の成り行きを観察しましょう。今秋10月には共産党大会(5年に一度)が予定されていますが、これにも注目しましょう。

欧州は各国選挙合戦で忙しそうです。ロシアのプーチンさんは、トランプさんとの良い出会いを待っているのでしょうか?

そこで日本ですが…..あれほど世界を巡ってきた安倍さんは、何かと対立する諸大国の間で潤滑油として貢献、活躍出来るのではないでしょうか?
これが如実に実現すれば、安倍さんはノーベル平和賞ものです。飛躍するようですが、政治/経済面で皆が仲良くすれば、海上荷動きは増える筈です。世界の船腹量とのアンバランスは出来るだけ早く解消して欲しいものです。

途端、ミクロの話ですが、船の「安全対策」に関しては海難事故のある度に本船に追加装備が要求されてきました。費用は船主負担で賄える程度でしたが、昨今、「環境対策」としてバラスト水処理装置とか、NOxとかSOxとか規制が厳しくなり、これらにも対応しなければなりません。費用も莫大になり船主だけでは負担が難しくなります。貨客船の海難事故で多くの犠牲者が出るたびに船体構造、装備に新規装備が要求されたことがありましたが、それらのコストが膨大で世界のフェリー会社全てが経営的に成り立たないと云う事態が想起されたために規制が緩和された経緯もあります。社会的、学術的な対策は結構ですが、船主経済にも常に配慮して対策を練って貰いたいものです。一方、環境負荷低減の為、燃費削減、燃料代替、省エネ等、造船所、オペレーター、油屋、エンジンメーカーなど全ての海事クラスターの知恵、ビッグデーターを駆使してコスト負担をミニマムレベルに抑えてほしいものです。

韓進海運は遂に破産宣告を受けました。今年の悪いニュースはこれまでとして、市況も足元では、やや上向きと観ます。MAKE SHIPPING GREAT AGAIN…..。
野田 著


Get Adobe Reader PDF ファイルをご覧になるには Adobe Reader が必要です。