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コラム
2016 Vol. 4 PDF 版



UKがEUより離脱すると云う結果には驚きました。世界中が驚き、市場は激しく反応しました。株式市場はともかく、ドル/円が100円を切りましたがこれは瞬間風速であって欲しいものです。年初に海運市況は今年の春には好転すると・・・・・・淡い期待をしていましたが、既にこれは裏切られ、今回の「離婚」劇により世界の政治経済先行きが、ますます不透明になりました。海運市況を観るには、暫し、今後の成り行きを注視するしかありません。世界のあちこちで発生している懸案事項、これらが混沌としている内は海運市況の先行きも不透明です。先ずは地ならしをしないと海路が見せません。

パナマ運河拡張工事が完工し大型船が通過しだしました。

パナマックス新パナマックス
全長294.13m366m
全幅32.31m49m
喫水12.04m15.2m

バルカーなら170,000DWT、タンカーなら150,000DWT、コンテナーなら13,000TEUが利用できるそうです。産地米国の極東向けLNGは大いに活用できるでしょう。

商取引(契約量)、造船所、港湾などの関係者は、これに対応して新しい配慮が要るのでしょう。しかし、現在の世界経済現状、通過料金、トンマイル減など勘案するに運賃マーケット改善のトリガーになるとは思えません。ニカラグアでは第二の運河が来年より着工予定とされているそうです。

今治地区の飲食街の客入りが少ない様子、三位一体(船主/造船/金融)が「脇」を締めているのでしょうか?ひと昔前であれば、市況が悪くても賑やかだった覚えがあります。世代の変革もあり、皆さんがまっとうな対応を強いられていると想われます。中古船の売買は結構旺盛で、おそらく赤字覚悟で売船する船主もおり贅肉を削いでいるのでしょう。これは船腹量増減とは無関係です。解体船も進んでいるようです。これは船腹量減です。新造船の新規発注は、特にバルカーは激減しています。船腹過剰感は解消に向かっているはずです。とは言え、世界の政治経済の先行きに不透明感が強く、従って海上荷動きが渋滞しているように感じます。今治地区の飲食街が息を吹き返すには、「地ならし」がある程度進むまで待って貰いたいものです。この様な市況低迷時期には、得てして投機筋が不穏な動きをするものですが、これを抑えなければなりません。

NYKが、事業多角化の一環として、海洋開発に熱心です。海底油田開発参入に100億円出資すると言う記事を見ました。井戸元から輸送まで一気通貫が完成するのでしょうか?大手が故に出来ることで、且つ、好印象をもって受け止めます。日本における海洋開発産業は特にソフト面が未熟で海外の先達と組む必要があります。金を出したら必ず実も獲るよう、抜け目なく頑張って貰いたいものです。

野田 著

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