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コラム
2016 Vol. 3 PDF 版



瀬戸内の観光活性化ファンドが設立されたとのことです。

上記ファンドは広島銀行、伊予銀行など7行が最近立ち上げたファンドで、瀬戸内の観光活性化が主目的であり、政府の目論見である地方活性化に即した施策の一環でもあります。瀬戸内海及びその近隣に多くの観光資源があり、これらをバックアップする意義深いファンドと思われる。観光活性化の新規プロジェクトとして、是非、瀬戸内限定のクルージングをファンド商品として検討されては如何でしょうか?

観光用にはどんな客船が良いのでしょうか?勝手な推測をします。

先ず、クルージング船とは、既存海路に就航しているカーフェリーでもなければ、近距離の高速客船でもありません。宿泊設備のある観光用純客船なのです。

今、大流行の地中海クルージングは、メガ級の大型豪華客船で地中海内の数カ国歴訪。すなわち各港には朝に着岸し、多くの客は追加費用を払ってエクスカーションに出かけます。勿論、本船でゆっくり過ごすのも良し。食事と宿泊は当然船中となります。夜(夕食後)は2時間程度のアトラクションで一流のSHOWを楽しみます。時間を持て余すことはありません。地中海と瀬戸内は地勢的に似てるとは云え、これを真似ることは出来ません。

揚子江5日間クルージングを経験しました。VICTORIA KATARINAと云う船名で、全長約100m、幅16.6m、98キャビンで各キャビンは、ツインベッド、シャワー/トイレ付、総載客数246人等、瀬戸内用には、ややこれに近い船をイメージします。乗客用乗務員が夕食後のアトラクションで踊りも演技も出来るのには驚きました。

VICTORIA KATARINA

仮に瀬戸内観光用は、純客船でBusiness Hotel Standardのキャビンとします。雑魚寝は駄目です。ラウンジとレストランは広めにします。プールは要りません。寄港は数か所とし、夜間を利用してゆっくり走ります。時間調整で港で夜間停泊することもありましょう。一日で2か所に寄港することもあるでしょう。キャビンの数は100室程度で乗客は250人程度で、4人部屋も含めます。クルーは乗務員を含めて30人程度で別途アコモデーションが要ります。船級はNK Coastalで救命艇は要りません。

瀬戸内の島なみは美しく、船から港、陸地、島、渦潮を観るのも新しい経験となるでしょう。寄港地よりバスで1〜2時間内には、神社仏閣、景勝地はいくらでもあります。エクスカーションでは、地元のバスを利用して、日本食のランチとか温泉を含めるのも良いでしょう。各地の旅館業者においてはランチ/温泉は有名な旅館が好ましい。

理想的には、新造船が望ましい。採算上問題あるとせば、既存の適船を購入して純客船に改造する案も要検討です。

上記、観光クルージングに加え、下記、瀬戸内内航チームを結成し(併せて仮称、瀬戸内リンク)、上記ファンドを活用されては如何でしょうか?

瀬戸内には、多くの内航船主が居られ、又、関西地区、中国地区、九州地区、四国地区に大手企業の工場があり、原料、半製品、完成品の海上輸送があります。多くの内航船が荷主とかオペレーターの用船保証で運航されています。トランピングは少ない。

各荷主/オペレーター主導で内航船が専用船的に運航されており、航路上ダブつきもでてきます。一時、かかるダブつきは用船者主導で是正されたものの、未だか完遂されたとは言えないと想われます。瀬戸内から豊後水道と紀伊水道を超える荷動きは基本的に除外します。瀬戸内だけの荷動き、(ドライ/ウエット/ガス)、航路を包括的に調査する必要があります。内航総連合に既存の資料があるのではないでしょうか?瀬戸内から他地域(関東、日本海沿岸等)に往路配船する場合、瀬戸内チームが優先権があることとしても、復路は用船ブローカーなりが協力できるのではないでしょうか?

観光用の客船なり瀬戸内専用内航船にせよ、大型災害時においても活躍することになりましょう。遠くからの支援よりも近距離、そして何より海上からの支援は初動時により効果があります。

従来の内航船にせよ、クルージングにせよ、「瀬戸内リンク」は、広島、愛媛、九州地区の内航船主が主体となって具現化すべく企画されては如何でしょうか?クルージング事業については、知見豊富な旅行代理店も企画チームに参加を呼び掛けるべきです。

野田 著

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