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コラム
2014 Vol. 2 PDF 版



昔 (1975年頃か?) 、某商社の船舶担当がオランダ (ハーグ) の SHELL 本部を訪問し、石油開発/生産の上級担当者と面談した折の話です。海坊主の様な大柄で、むき出しの腕に刺青をした上級担当者曰く「タンカーなどは君ら商社にとっての鉛筆みたいなもので、我々にとってはある意味日常消耗品の類だよ。SHELL も勿論タンカーを保有しているが (必要隻数の半分程度) 凡そは他人に持たせて借りればよい。他方、石油の利権/探査/開発にはより膨大な資金と時間の投入が求められ、首尾よく当たれば利潤も大きいがいざ生産に入ってから採算に合う生産量が無いと判明するリスクも大きい」。
なるほど彼等が従事する UP-STREAM はダイナミックであるがリスクも高いという世界かと感銘を受けたそうです。それでも洋上石油開発/生産用機材だけは日本の造船所で製作可能とも思ったそうです。

従来日本は石油、ガスの生産品を輸入する歴史が長く、井戸元参入 (鉱区取得) の例はあるが、成功例は少ない。開発までのオペレーション・ノウハウはありません。
かかる中で近年、日本の大手三社が戦略的にオフショア事業に乗り出しています。
殆どが DOWN-STREAM の範疇ですが、各社いろんな手法で参画しています。足元で資金の余裕もあると思われますので、急いで経験を積み、実績を上げて欲しいものです。
一方、オフショア用の機材、特に Drilling Rig 、Production Platform 、Supply Boat 等の Hardware 面では日本の造船所はかなり活発に受注した実績があります。しかし、その後、韓国、シンガポールなどに先を越された感が否めません。
大手造船所には未だ技術力が残っているはずですが再度の巻き返しは難しいのでしょうかね。

さて、米国の景気が拡大しているらしい。欧州の景気は底入れしたらしい。中国向け鉄鉱石も活発で、世界の貨物量が増加、ひいては大手各社とも2013年度は売り上げも、収益も増えたと報告されています。この中で、中国が心配です。昨年末の共産党中央経済会議で、「2014年は全面的な改革深化の元年だ」と言う。「高速」経済成長から「中速」に移行、経済の質向上を図ろうとする意図が読める。3月には全人代があります。内容に注目しましょう。
心配なのは3つ、(1) PM2.5 (2) シャドウ バンキング (3) 地方で起こる紛争。これらが経済活動に悪影響を及ぼし、ひいては海上荷動きに悪影響を及ぼすからです。

野田 禎造 著


2014年2月の成約

船名 タイプ Sub サイズ 建造年 建造国 US$
(Mil)
LivanitaBulk45,400 Dwt1997Japan12.30
SlavnikBulk46,600 Dwt1998Japan12.50
Ocean PresidentBulk50,913 Dwt2001Japan14.70
Tropical QueenBulk52,498 Dwt2005Philippines21.50
Sky Mariner 5Bulk53,500 Dwt2005Japan22.00
Rm PioneerBulk50,785 Dwt2006China 
Orient IrisBulk54,958 Dwt2014Japan31.00
Amis EleganceBulk55,000 Dwt2015Japan31.00
Kawasaki Kobe 1719Bulk55,000 Dwt2015Japan31.00
上記売買船価は、マーケットにて報告されている数字であり、実際の売買船価とは異なる場合があります。
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平野 光男 / 野田 禎造

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