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コラム
2012 Vol. 3 PDF 版


暑中お見舞い申し上げます。

造船市況も海運市況も苦渋の時代にあります。今年は世界の景気も政治も揺れ動きますが、些か神様の逆鱗に触れたことがあったのでしょう。世界景気の減速は造船、海運に悪影響を及ぼします。来年は今年より落ち着きを見せて、人間の叡智も在り良くなるものと確信します。

7月20日の日経1面に「国内造船、10年ぶり能力減」とありました。昔 (半世紀前) は、世界の建造量の半分以上は日本であり花形輸出産業であった時代もありましたが、今 (2011年度) は、受注シェアは 14% と中国の半分、韓国の3分の1にとどまると報告されています。欧米の造船歴史を見ても明らかですが、この労働集約産業は発展途上国に移行していきます。日本造船業界はもっと事業構造の転換を急がなくてはなりません。専業造船所は生き残るための知恵が必要でしょうが、そうでない大手造船会社は究極的には造船廃業を最終目標として事業転換を図るべきでしょう。

中国では雨後のタケノコの如く新規造船所が出来ました。場所も人も潤沢でしょうが、造船は経験工学です。建造中には想定外のことも起こります。理論を抜きにした熟練の技もあり、匠の勘もあるでしょう。日本も過去多くのチョンボ、修正を繰り返して今や造船関連工業も含め熟成したもので、韓国もやや、同様の経験をして今に至っています。この点、中国は発展途上にあると思えますが、何れ熟成され、世界にも認知もされるでしょう。経営手法も含め日本のノウハウを得て、近未来に性能の良い、長持ちする船を建造して欲しいものです。又、造船は装置産業でもあり、広い土地、設備が必要で、日本の大手造船所の場合、代替事業を考察するには大いなる決断をしなければなりません。このことが、なかなか事業構造の転換が出来ない理由になっているのかもしれません。テーマパーク、大型プラントのプレハブ工場、自動車、原子力関連事業、専業造船所への売却等々。

世界景気低迷の中で、日本は比較的に良くやっているのではないでしょうか? それが円高に反映しているのかもしれません。日本政治揺れ動く中で、野田首相は気を失うこともなく頑張っているようにも見えます。暑中お見舞い申し上げます。



2012年6 - 7月の成約

船名 タイプ Sub サイズ 建造年 建造国 US$
(Mil)
Atlantic Monterrey Bulk   45,263 Dwt 1986 Japan 3.95
Lindos Bulk   52,540 Dwt 1990 Russia 5.40
Furia R Bulk   46,664 Dwt 1996 Japan 10.50
Meghna Pride Bulk   48,122 Dwt 1997 Poland 10.00
Amber K Bulk   48,282 Dwt 2000 Japan 13.50
Violet Bulk   50,326 Dwt 2001 Japan 15.40
Maritime Cuate Bulk   50,244 Dwt 2002 Japan 15.30
Vega Eternity Bulk   52,466 Dwt 2002 Japan 16.50
Sanko Titan Bulk   52,514 Dwt 2005 Japan 18.75
Sella Maris Bulk   52,454 Dwt 2007 Japan 18.00
Prisco Abakan Bulk   57,334 Dwt 2009 Korea 21.00
Hyundai Vinashin H SO10 Bulk   55,783 Dwt 2012 Korea 20.30
上記売買船価は、マーケットにて報告されている数字であり、実際の売買船価とは異なる場合があります。
このレポートに関するお問合わせは下記まで:
極東海運実業株式会社
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平野 光男 / 野田 禎造

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