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コラム
2011 Vol. 5 PDF 版



GLOBALIZATION - グローバライゼイションという言葉を基調にして、20年ほど前、住友信託銀行主催の集まりで伊藤洋一氏の講演を聞いた覚えがあります。当時彼が強調していた通り、昨今の世界情勢はますますグローバライゼイションが進んでおります。最終的には地球がひとつの国になる途上にあるような気さえします。海運業界も、日本国内での合併劇を経て、共存共栄のため世界的な合併、合弁がますます進むのではないでしょうか? 個人船主も本社機能を海外に求め、銀行がそれに呼応する動きも一種のグローバライゼイションでしょう。リーマンショックに観るごとく、昨今海運市況も世界の政治経済に敏感に影響を受けます。外国だから、業界が違うからといって無関心ではいられません。2011年は EU 圏が火薬庫で推移した感があり、やはり海運低迷に関与しているのではないでしょうか? 日本のことはさておき、世界の政治経済の動きにも目を光らせる必要があります。

EU 圏内の混迷、米国の景気、アラブの春、中国の動向、そして飽くことのない世界を走り回る投機資金等 - ミキサーにかけたらどんなジュースができて、海運業界にとって栄養となるのか? 毒入りなのか? です。

2011年度は世界が混迷のまま暮れようとしています。日本は東北震災。この混迷から抜け出すには後一年かかりそうです。洋の東西を問わず、人間には叡智あり、これらが集い、2012年度は世界の政治も経済も再構築するための努力をする筈です。世界の貿易も秩序を取り戻し、荷動きも海上輸送量もやや想定できるのではないでしょうか? 回復感を味わえるのは2013年? 来年はその過程を良く観察したいものです。

円高は困ったものです。70円台で定着している感がします。造船を含めた日本の輸出産業は長年に亘り、合理化などの為替対策を講じてきて現在に至っています。商品の品質を向上させつつ本当に頑張ってきたものです。重厚長大の造船業に関しては現下の為替では赤字受注を余儀なくされています。今後、合併志向は止めて大手造船所は造船業から撤退する時期に来ているのかもしれません。造船は造船専業造船所に任せては如何でしょうか? とにかく、2012年は特に、為替動向に注目したいものです。識者間でも意見が異なりますが、我々は日々動向を観て「あと説」を聞いて過ごすしかありません。

海運も然り。日本に本社機能のある限り、円コストを免れません。日本のオペレーターは海外オペレーターとの合弁を志向し、日本の船主は海外進出し、これに呼応して日本の銀行が海外に拠点を設ける等、まさしくグローバイゼイションに対応しつつあります。

年末にあたり、景気の良い話が出来ませんが、平穏に年末、年始をお迎え下さい。


P.S. ハンディーマックス中古の売買実績添付。8 - 9月に比べて殆ど変化はありません。


2011年10 - 11月成約 (ハンディマックス)

船名 タイプ Sub サイズ 建造年 建造国 US$
(Mil)
Kanpur Bulk   47,175 Dwt 1986 Korea 5.30
Western Santiago Bulk   46,637 Dwt 1997 Japan 14.00
New Auspicious Bulk   48,227 Dwt 1997 Japan 15.50
Sanko Supreme Bulk   50,655 Dwt 1999 Japan 16.50
Ocean Sunrise Bulk   48,203 Dwt 1999 Japan 16.90
Bonasia Bulk   46,509 Dwt 2001 Japan 20.00
Free Lady Bulk   50,246 Dwt 2003 Japan 22.00
Dry Beam Bulk   46,619 Dwt 2005 Japan 22.50
上記売買船価は、マーケットにて報告されている数字であり、実際の売買船価とは異なる場合があります。
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平野 光男 / 野田 禎造

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