天候不順が続き、やっと春になりました。海運市況も桜花爛漫の春を迎えて欲しいものです。

昔、開発途上国と呼ばれていた国は、「新興国」と呼ばれます。これらの国が世界経済の牽引力にさえなっている様相を呈しています。中国は当然、インド、アセアン諸国の経済動向を注目しましょう。グローバルな経済活動が活発になれば海上荷動きも増えます。

日本経済センターの発表 (2010年3月) の、世界景気天気図では、景気動向を示す指標は、9か月連続で改善した。これまで「雨」だった日本は、約3年ぶりに「薄日」になった。中国は2か月連続で「快晴」。新興国も伸びた。米国、欧州は「嵐」のまま。

日本経済新聞の産業天気図予測では、「薄日」が主要30業種のうち6業種あり、3か月前より、4業種増えた。この中に、「造船」が入っている。造船は資源開発の活発化で資源運搬船の需要が膨らむとあるが、発注残で賄えるような感じもするので、「薄日」のまま推移して欲しいものです。貨物輸送のカテゴリーでは、貨物輸送量が低調で「小雨」。一部に明るさも、とある。これは海運ドライマーケットのことでしょうか?


日本経団連は、国内景気について「完全に底は打った」との認識を示した。「中国・アジアの急回復で輸出・生産が持ち直している。個人消費にはまだ力強さが無いが、企業の景況感は良くなりつつある」

日本経済新聞が纏めた「社長100人アンケート」 (2010年3月) で、国内景気が半年前より改善したとみる経営者が 61.3 % 、昨年12月時の調査から12ポイント増えた。

海上輸送面からも、中国の動向は目を放されませんが、最近のインドも気になります。インドの鉄鋼大手10社の粗鋼年産能力が2020年までに現在の約5倍近い2億トンに拡大する。又、火力発電所拡充計画もあり、どちらも石炭は輸入することになります。

とにかく、景気が良くなれば、海上輸送量も増え、海運市況も良くなります。景気の「二重底」説もありますが、皆が良くなると思えば「良くなる」のです。

経済活動のグローバル化は結構ですが、生産活動など実体経済に必要な額をはるかに上回る資金が世界を駆け巡るようになり、リーマンショックに懲りず、未だ、こうしたマネーを運用する投資ファンドは利益の最大化を求め、企業に内部留保を多く持つことを許しません。これが事故を起こし、景気に悪影響を及ぼします。財政、金融政策は経済のインフラです。日本政府、G20 内で制御して欲しいものです。

足元、ドライ市況は回復基調にありますが、他の船種 (ふなだね) は依然低調のまま推移しています。船腹需給バランスのハザマで現状の新造発注残が大きく影響しているものと観ます。景気が目に見えて好転し、船腹過剰感が薄らいでくると、新規発注も活発になるでしょうし、運賃も、傭船料も改善されるでしょう。

「散る桜、残る桜も、散る桜」では困るのです。