海運市況にも影響ありと注目していた中国の全人代が3月5日に開催されました。決議は経済政策が最重要テーマでした。「保八」、即ち経済成長 8% 以上を維持しなければ失業者が急増し社会不安に陥るとしています。「保八」の為莫大な国家財政が拠出され、内需拡大、公共投資などが織り込まれておりますが、早く実行されその効果に期待します。

鉄鉱石のストックパイルも輸入量規制により3/4,000万トンに減り再度荷動きが出てきたようで、ケープ市況も上向き始めた様子。鉄鋼製品は内需拡大で捌けるが、一方先進国の購買意欲激減で中国の輸出が伸びず、これがコンテナに悪影響が出ており回復にはかなりの時間がかかりそうです。要するに不況はグロ−バル化、多極化しており先進国・新興国がよくよく打ち合わせして底上げしなければなりません。

どうも世の中は供給過剰に陥ったのではないでしょうか? メーカーは次から次へと新規商品を開発、消費者を煽り、消費者もフトコロの許す範囲でそれに呼応しすぎたのかもしれません。電化製品、自動車の買い替え時期を遅らせても生活実態に問題ないことに気付いたのでしょう。世界の人が「脇」を締めたら、海上輸送量がガタっと落ちて船腹過剰になってしまったのです。


FINANCIAL ENGINEERING (金融工学) などと言う思想は注意して実行して貰いたいものです。サブプライムローンがことの発端のような気がします。債権を商品化して売買されると毒を喰らう素人は沢山出てくるのです。「闇鍋」とは親しい人同士、多人数が夫々自分以外には不明な突飛な材料を持ち寄り、暗中調理して食べる遊び心の鍋料理のことですが、タバスコなどの不適な材料などを投入して下痢することもあるそうです。サブプライムローンは「闇鍋」でした。

海運が何時回復するのか未だ解りません。突然と言うよりも、各国の景気対策の実効を観ながら徐々に回復するのでしょう。英国の海運識者が曰く、「KEEPING A WEATHER EYE LIFTED」(ヨットで沖に出たら常に気象変化を凝視しろ) 、日本では「風車 風が吹くまで 昼寝かな」、中国後漢書では「疾風に勁草を知る」(強い風が吹いて初めて倒れない強い草) などの心境で待ちましょう。