「沈みつ 浮きつ」

過去4年間、年末には来る年の市況に何ら不安を感じませんでした。しかし今年は不安を担いで越すことになるでしょう。今年の後半は沈みに沈んだり、正にNOSE-DIVE (鼻から真っ逆さま) 。2004年中頃、短期間に中古バルカーの船価が 25% 暴落し、NOSE-DIVE の挿絵を描いた覚えがあります。今回はこれに追加した挿絵としました。2004年当時は一時的なもので、2004年後半より市況回復を予測しました。今年は 8、9月よりたった 2、3か月後に中古船市況は半値八掛けに落ち込み、今後チョイとリバウンドするとしても、ことは世界規模だけに大きく回復するにはかなり時間がかかりそうです。

サブプライム、リーマンブラザース破綻が起因か、世界規模の金融危機 (INTERNATIONAL FINANCIAL CRISIS) 。原油は7月に最高値 US$ 147.27/バレルが11月21日 US$ 49.91 - 基礎燃料がこんなことでは関連産業も右往左往。株価の乱降下で個人も企業も資産の目減りが著しい - 不安が不安を呼び財布の紐は締ります。為替の変動 - 船会社の多くが円で返済、ドル収入、長期間100円切ると銀行も不安になるでしょう。基幹産業の自動車産業は軒並み業績悪化 - 国が助けることになりましょう。同様、鉄鋼、半導体、土地不動産 ... 何もかも信じられない短期間で落ち込んでしまいました。

GLOBALIZATION と言う言葉がありますが、落ちるときも正に GLOBAL 規模で一国だけの問題ではなく世界の問題で、ことは目まぐるしく変動しています。これでは具体的な対策がたてられません。毎日新聞を隅々まで精読してテレビでの解説、識者の討論などよく聞いて年末を過ごしては如何でしょうか。かかる危機の中にチャンスもあるものなのです。

大きな変動のある中で、少なくともアメリカ大統領は決まりました。今回の金融不安はアメリカ発信、世界のリーダーとして「後始末」つけて欲しいものです。FINANCIAL ENGINEERING とやらはもう結構です。オバマさん御願いしますよ。G20 で何やら有意義な打ち合わせをしたようです。世界規模での対策が出そうです。早急に実行願いたいものです。

海運は想像を絶する超弩級の急降下。おらが春から係船地へ。LAY-UP が照れくさいのか、WAITING FOR ORDER でアチコチで停船しだしました。

中古船は今年前半に60億円だった船が10月には30億円、40億円だった船が20億円、およそ半値かそれ以下。たった 2、3か月で左程に落ち込むのは過去に覚えがありません。今年夏に契約し11月に引き渡しするような案件は実際問題が発生しています。10% の DEPOSIT が没収されてもバイヤーは逃げたくなります。

中国の新造建造契約にもキャンセルが出ているようです。日本は2013年まで受注残があるとて安心はできません。既契約分、建造中でも何か事件が起こる予感がします。長期用船契約が無い発注、金融が確定していない発注などは問題を起こしそうです。

「CONTRACT IS NO MORE CONTRACT」、「COMMITMENT IS NO MORE COMMITMENT」ということが起こっているのです。これら契約破棄、変更、約束破棄の理由を「INTERNATIONAL FINANCIAL CRISIS」とし、不可抗力扱いにするのでしょうが、成り行きに注目したいものです。海外の大手銀行で我が身を守る為か、貸し渋りどころか貸し剥がしを画策するところがおります。

今、足許は海の底、酸欠でこれが長期に続くと皆が生存できません。何れ「皆が生きられる程度」には浮きます。その「程度」までの期間が分からないのです。船主もオペレーターも荷主も造船所も過去4年間の「貯え」がある筈。年末までは世の動きを静観されてはいかがでしょうか。