5月も半ば過ぎ、梅雨の前触れか蒸し暑くなりました。 海運市況は好天気が続いております。

5月13日、海運集会所主催の「日中海運セミナー」で CSA (中国船東協会) の Mr. Xu Guibin 副会長は2008年の中国海運業の見通しについて言及し、「中国の経済は引き続き世界の経済成長を牽引する」とし、「今後とも中国が造船業だけでなく世界の海運業の好況要因となるだろう」と発言しておられました。セミナーとは言えかなりの強気発言。神様がかかる発言を聞くと「いたずら」したくなるものです。周囲が中国のおかげであるところは認めているので、そこまで言わなくても良いのではないかと思います。

とは言え矢張り注目すべきは中国です。筆者の悪い癖ですが、今回の四川省で発生した M 7.8 の大規模地震は海運市況にどう影響するのか慮っております。温家宝首相が現地に飛ぶ早い動き、軍・警察の大規模投入など報道される範囲では評価に値しますが、「社会不安」を増大させる懸念があります。チベット問題、大気汚染、食糧問題、インフレなど、オリンピックを間近に控え中国政府もこれらの異変への対応が大変な様子です。

米国発信のサブプライム問題も含め、かかる異変が中国経済、世界経済に悪影響を及ぼすことになれば世界貿易、海上輸送に悪影響を及ぼすことになるのです。

何はともあれ、海運市況はこれら異変にも拘らず高止まり、高位推移しております。これで「当たり前」と認識しても良いのかと思うばかりです。しかし今が「当たり前」と思ってはなりません。海運は「沈みつ浮きつ」の歴史です。驕ることなく、そうでない将来のため何かにつけ力を蓄積することが肝要です。

「春秋左氏伝」中の故事で、「安きに居 (お) りて危うきを思う」とある。同義語で「易経」に「君子は安けれども危うきを忘れず。存すれども亡ぶるを忘れず。治なれども乱るるを忘れず。是をもって身安くして国家保つべきなり」。 中国の春秋時代は紀元前ですが、簡単に言うと「備えあれば憂いなし」「勝って兜の緒をしめよ」ということです。