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コラム
2017 Vol. 6 PDF 版


北朝鮮の暴挙と過激な発言には困ったものです。直接海運市況には影響しませんが、ミサイルが飛び交うようになれば話は別です。トランプさんの発言や識者の解説はさておき成り行きを見守るばかりです。プーチンさんは「たとえ国民が雑草を食べることになっても北は核開発を止めないだろう」と云いますが、金さんの究極の目的は何なんでしょうか?

先般「バリシップ」が開催され、船主のパネルディスカツションがあり、其の議事録(三井住友海上作成)を拝読し感銘をうけました。
確か1965年頃と記憶しますが、雪駄に腹巻きしたような親爺さんが四国から大阪に出張して、四国船主が保有する内航船の売りものを紹介しておりました。韓国をはじめアジア諸国に売船するため商社に要請していたのです。その後、四国船主は近海船から大型船保有へと発展した永い歴史があります。
さらに1985年頃と記憶しますが、東京の個人ブローカーが伯方島の船主を訪問、フェリーで木の浦港に到着した時、桟橋で船主が丁重に出迎えておりました。このブローカーは、その船主保有の近海船を東京のオペレーターに用船仲介していたのです。この船主は現在、バルクキャリアーの保有船腹では世界の十指(五指?)に入る船主に育っています。その後、四国船主は船種も増え、大型化しました。四国船主が地元の金融機関、造船所との三位一体の環境に恵まれていたこともあります。中国地区、九州地区も追従しましたが紆余曲折のなかで、四国地区は海事産業の地歩を確立した感があり、「バリシップ」を成功させているのでしょう。
各地区のオピニオンリーダーであるパネラーの発言など拝聴するに、先代の社長からのDNAを見事に継承し、発展させています。ギリシャのPiraeusには軒並み船主の集まった場所がありますが、愛媛県今治地区はそれを彷彿とさせるものがあります。海事展としては、ギリシャのPSEDONIA、ノルウェーのNORSHIP、そして日本のSEA JAPANがありますが、これら世界的な海事展の中で、「バリシップ」が日本国内の海事クラスターが集まった海事展としてさらに充実、発展することを祈念します。

市況は夏枯れ無しで推移したようです。未だ潤沢ではありませんが、更に改善するでしょう。最近、新造船発注が多くなった感がありますが、過去2〜3年比較的に発注が少なかっただけに一寸目立ちます。造船所(専業)は結構先物まで船台が埋まることでしょう。投機目的の新造船発注は控えて欲しいものです。中古船売買も活発ですが、これは需給バランス的には問題ありません。

トヨタ自動車が環境負担の低いLNGを燃料にした次世代カーキャリアーを20隻程新造すると発表しました。荷主が先導したのでしょうか?オペレーター、エンジンメーカーは充分対応出来ているのでしょうか? どうも環境問題が海運、造船にもますます攻勢をかけてきます。独立船主にも及んできます。LNG焚き船は既存船より10数億高くなるそうです。船舶自動化も早急に具体化させ、船主のオペコストを下げたいものです。自動化の具現化のためにはIMO/CLASSを含めた海事クラスターが結集して取り組まなければなりません。
内航に関するニュースで、ふと目を引いたのはイオンとサッポロホールディングが双方の子会社を通じ貨物船を共同運航するとの発表です。イオンは福岡県内の生産工場より大分港、そこから清水港へ商品を運ぶ、サッポロは清水港から大分港に運び、佐賀県内の物流センターに商品を納入する。年間輸送コストをイオンで15%、サッポロは6%の節減が期待できるそうです。内航市場は旧態依然の感がありますが、陸上輸送華やかな昨今、これに対抗する為にも、内航総連合主導でかかる商機の発掘を増やすべくチームを立ち上げ、検討されては如何でしょうか?

 

野田 著


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