今回のG20首脳会議の成果については賛否両論であるが、それは別として、現地で各国個別の首脳会議があり、各国思惑はあろうがより友好に向かって歩み寄りしたのではなかろうか？G20とは日欧米と主要新興国による20か国の首脳会議であるが、常々、従来のG7より意義のあるもので、前向きの「宣言」がでれば、牽いては世界の物流に資するものだと確信します。また、これとは別に中国主導によるAIIB（アジアインフラ投資銀行）設立の意向があり、さらに交渉進捗中のTPPを意識してか中国はFTA（アジアー太平洋地域全体に網をかけた自由貿易協定）を優先すべきという。
中国は、北京APEC（アジア太平洋経済協力会議）の成功を自負しています。やや、米国と中国の主導権争いを観ますが、今後とも事務方はお互い協調して早期に納まるところで納めて欲しいものです。こうして皆が仲良く、協調し合えば牽いては、世界の物流が増え、海上輸送量が増えることになります。G7は形骸化しているような感があります。地政学的（GEOPOLITICAL）には、主要新興国を入れての首脳会議がより有意義である時代に入っているのです。最近、‘REBALACE’（再均衡）という言葉を耳にしますが、世界の平和、経済発展においては、よりグローバルに思考する新しい時代になったと言うことでしょう。

安倍首相も帰国後に衆議院解散、そして選挙では大勝しました。今後、3本めの矢がご自分に目がけて飛んで来ないよう頑張ってほしいものです。我々の身勝手ながら、安倍首相と黒田日銀総裁は、海運、造船業界にとって、ある意味では救世主なのかもしれません。何はともあれ、円安のまま年越ししそうで、大慶至極。
話題はややミクロになりますがー
油、石炭、ガスに始まるエネルギーの歴史的変革に海運、造船は常にシンクロナイズしてきました。何れにしても海上輸送対象商品ですが、最近話題のシェールガスもさることながら、日本の船会社もオフショア開発、参画が戦略に上がっています。HARDWAREに関してはやや実績もありますがSOFTWAREに関しては欧米に一歩も二歩も先んじられています。SOFTWAREを会得しないまま、建造契約をすると、韓国造船所の様に大赤字を出します。これらは経験工学のバルカー、タンカーとは違うんです。何らかの形でプロジェクトに参画してSOFTWAREを習得しながら大いに関与していけば良いと思います。韓国、中国はHARD面での実績は先行しているが、日本も何れは追いつくでしょう。日本の石油会社も海外の井戸もとにもっと参入するでしょうし、オフショア開発、生産機材のOPERATIONさえ習得すれば日の丸ベースで将来大型プロジェクトが組成されるかもしれません。

更にミクロですがー
最近、洋上風力発電が話題になっています。これは浮体式と着床式があるが、日本海域は水深が深いので浮体式となりましょうが、仄聞するにはコスト高で発展性に欠けている様子。浮体式は日本発信となりましょうが、余裕のある重工業（大手造船所）乃至は大手商社主導でやっても、猫も杓子もということにはなりません。

‘GEOPOLITICAL’ と‘REBALANCE’をKEYWORDSとして今年最後のマーケットレポートとします。来年は良い年になる筈です。明るい新年をお迎えください。