Home > Column > 2012 Vol. 1 Print this page
コラム
2012 Vol. 1 PDF 版



三光汽船のトラブルは全く困ったものです。「事業再生 ADR」とは英語で ALTERNATIVE DISPUTE RESOLUTION と言うそうで、裁判外の紛争解決で経営再建を目指すものです。三光汽船は、1985年8月13日に会社更生法の適用を申請、事実上倒産し、22年後の今、これが2回目となります。1回目倒産の当時は、既に河本敏夫氏は政治家であったが、運輸省、金融機関の裏作業の効果もなく破綻に至った。債権カット、市況好転もあってか1998年には更生手続きを終えた。その後、与信もつき順調に船腹増強をも実現できるようになり、リーマンショックに至るまで順風満帆と思えました。2008年のリーマンショックは瞬間的に世界的規模で経済迷走を来し、海運市況もこの例外ではなかった。

東北震災ではありませんが、「想定外」も想定して生き抜く思考が常々必要なんでしょう。儲けを全て使い切るのではなくて、然るべく蓄えておくとか ... 。

1985年当時は、河本敏夫氏、運輸省 (山下運輸相) 、大和銀行を筆頭に主力3行が表、裏で密度の高い画策をしたが、及ばず。今回は裁判所が絡まない大型案件で今後の成り行きに注目したいものです。これに関わる多くの日本の金融機関、造船所、個人船主にとっては多難を迎えますが、刻々変化する再建案については「YOU SURVIVE, WE DIE」では神様が許しません - を肝に銘じて対応するべきでしょう。
ふと、昔、アイランド・ナビゲーション (INC) の破綻を思い出します。この時は、あのリーマンブラザーズがコンサルタントで再建案を策定しました。香港のホテルの会議室で、1回目の債権者会議があり、多数の債権者 (商社/造船所/銀行) を集めて案の提示があり、協力を求めました。債権者の中に船主は2社のみであり、その1社が「CANNOT ACCEPT BECAUSE YOU COULD SURVIVE, BUT WE DIE」と発言したのを思い出します。今、INC は立派に再建しています。

為替は、80円台で推移していますが、まだ円高です。世界経済もやや上向きに観えますが頼りの中国が今ひとつ。2012年は世界の首脳陣も変わるでしょう。やはり、2012年は脇を締めて静観、2013年に期待したいものです。


2012年1 - 3月の成約

船名 タイプ Sub サイズ 建造年 建造国 US$
(Mil)
Solon Bulk   42,183 Dwt 1987 Japan 6.20
Konkar Theo Bulk   45,232 Dwt 1994 Japan 10.00
Curia Bulk   51,029 Dwt 2001 Japan 19.50
Libre Bulk   52,510 Dwt 2001 Japan 14.75 ?
Sanko Galaxy Bulk   52,980 Dwt 2005 Japan 20.90
Sanko Mineral Bulk   50,757 Dwt 2008 Japan 21.50
P.S. 10-11月に比べてやや下がっている。
上記売買船価は、マーケットにて報告されている数字であり、実際の売買船価とは異なる場合があります。
このレポートに関するお問合わせは下記まで:
極東海運実業株式会社
〒103-0013
東京都中央区日本橋人形町1-1-11 日庄ビル5階
Tel:  (03) 3664 8111
Fax: (03) 3664 8233
Email: mail@fest.co.jp
平野 光男 / 野田 禎造

Get Adobe Reader PDF ファイルをご覧になるには Adobe Reader が必要です。