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コラム
2005 Vol. 3 PDF 版


昨年より海運市況は好調に推移しており、多くの人が3年は続くと言い、少数派であるがもっと長期に続くと言います。願わくば海運・造船にとって、牽いては融資銀行、関連業界にとって独歩高でずっと好況が続いて欲しいものです。何故か為替も適温で (?) 安定しています。

とは言うものの矢張り足元市況には一喜一憂するものです。

連休明け海運市況は急落しています。昨年は3月に急上昇してその後急落、6月に大きくリバウンドし今年4月頃まで概ね高位で推移してきました。関係者の思惑は在庫調整等で季節的要因あるとし、昨年の如きリバウンド期待して楽観視している人もおれば、昨今の急落はこのまま続いて大きなリバウンドはしないだろうと悲観視する人もおります。これらの皆さんはそれなりの見識ある自論をもって説明されておられますが、取りあえず夏の終わりごろの市況がどうなっているか非常に興味のあるところです。

過去約1年半の市況動向は間違いなく中国発信であり、中国の政治・経済 (特に為替) 等の動向には皆様も見聞して下さい。より長期的にはアメリカ経済、BRIX 諸国動向も見聞する必要がありましょうが、当座は未だ中国でしょう。


中国は2005年中にも粗鋼生産3億トン以上を目指しておるようですが、製鉄所増設が原材料輸入量にキャッチアップしていない懸念もあります。在庫調整ができれば又買い出すことになるでしょうが、本当にこうした背景であれば市況高騰に繋がりましょう。小さな荷物ですが、最近椰子油を積んだタンカーが中国に入港したが輸入許可が発給されていないので荷上げ出来ていない事故があります。何でも原材料は輸入許可は何れ発給される前提で契約され海上輸送されているのでしょう。かかる事が「点」でなく「線」になり「面」に拡がると海運市況に悪影響します。なんでもやり過ぎると「神様」がブレーキをかけたりするものです。何か起こりそうな予感もします。御留意。御注意。

現下用船市況にはやや先行き不安がありますが、売買船市況は売り物不足で船価は高止まりしております。又、買船引き合いも多いのが現状です。この時期バイヤーは用船市況の様子を観て買い控えするものですが、おそらくブローカーがアジテートしておる様にも想えます。海運 (用船) 市況の低迷が続けば時差はあるものの売買船市況も落ちてきます。時差は6か月でしょうか?

従来、近海船は遠洋船とは市況的に一線を画しておりましたが、近海市況好調で船不足現象を観ます。大型船 (ハンディー以上) の市況が悪くなっても、これが近海船に影響するのも然るべき時差があるでしょう。時差はこれも6か月でしょうか? 何事も劇症的な変化は無く現象は必ず因果を背景としており、取り合えず中国を注視しつつ己の足元を見ることが肝要と思います。

売買船市況の変動に就いて下記ご参照ください。

  Jun-03 Jun-04 Jun-05
Capesize (10才) 22.00 32.50 45.00
Panamax (10才) 13.00 20.50 35.00
Handymax (10才) 11.25 16.00 29.00
Smally Handy (10才) 8.75 14.50 21.00
近海船 (10才) 3.50 5.50 8.00

(単位 US$/Mil)

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